「ゲーム音楽史」読みました。

ちょいと思うとこが多すぎて長文になりそうだったので大変久々にこちらに。

読まずになんか言うのも主義に反するので、一応読んでみました。
なお当方ひねくれものの無礼者でございます。その前提で以下お読みください。


事実誤認いっぱい…とかは既に出ているので専門家にお任せ(→ http://d.hatena.ne.jp/hally/20140727 )…と思ったけど突っ込みどころ満載だったので追記しましたがそれはひとまず置いておいて。
時系列があっちゃこっちゃいってすっげー読みづらいってのも置いておいて。


各所で書評として「歴史」開始の位置と作者さんの幅の狭さが指摘されておりますが、
この本もしかして「ゲーム音楽で商売する人からみたきれいな歴史本」にしたかったのかしらとかちょっと。


コンピューターの歴史語るのにチューリングマシンENIACIBMもすっぽかしてAppleIIから始めちゃいました、てへ。って感じじゃないんですよね。
むしろモーツァルトの偉大さ語るために「俺の尻をなめろ(という曲がある)」の存在隠しているようなそんなかんじ。
いやコンピューターで語るなら原爆開発の計算のためにENIACできたことを隠している、って言った方がいいのか。

思い当ったことには理由がありまして、(Twitterで少し書いたネタですが)
ちょいと昔に「後世に残したいゲーム音楽CD10枚」の選出にかかわったことがあるのですが、そのときに「普通畑でも活動していた某ゲーム音楽作曲家さん(誰だか知りたい人はブログをうーんとさかのぼってください、惨劇とともに出てきますw)」が「スーパーマリオ」をやたら推したんです。
その時は私含むマニア組はイマイチピンとこなくてたしか選外にしたんですが、「スーパーマリオ」発売当時それがらみのイベントが仕掛けられそれなりに成功していたらしいことを知り、普通のミュージシャンというか音楽業界人にしてみればそれは衝撃的なことだったんだろうなと後になって思い当ったわけです。

  • だから、商売する側の人には「スーパーマリオ」から始まらなきゃいけない。
  • それに続く人はそれにつりあうくらいの肩書きがなきゃいけない。ドラクエとか。
  • んでもって取り上げる人は今後の商売につながりそう人でなければいけない


ということなのかなとまで。
ってなんでここまでひねくれた見方しているかってぇと

  • 本文に出てくる内容より以前に実績があっても今ゲーム業界にいない人の名前は出てこないし(デイトナで歌わせた話があるけどそれ以前にファンキーK.Hさんの「OKI RAP」があるのに一切記述なし、ハットリくんの「アルルの女→天国と地獄→アニメ主題歌」の記述があるのに国本さんの名前なし)
  • 劇的なドラマに見せたいのか昔の話が全部はしょられている人がいるし(並木学さんの話が載っていますが、CAVE曲からのことだけでNMK時代の記述なし。オペレーションラグナロクだって十分革新的だろーが)
  • インタビューすればきっともうちょい深イイ話聞けたであろうとこに踏み込んでいないとか(にゃんこ大戦争は現在進行形のゲームなんだからボノス行けよ、とか)
  • フリーダム過ぎて商売に巻き込めない人の記述がさらっとすぎるし(なぜか昔のGMバンドの話が合って現行ZUNTATA、[H.]の話がない、音ゲー系外注アーティストの話が一切ない、とか)
  • 元はゲーム音楽やってたけど今一般音楽畑で活躍している人の話が菅野よう子さんしかでてないとか
  • ゲームラボ」で連載持っている人の本にしちゃ随分ずさんで恣意的な記述だなぁとか
  • 何より昔キーボードマガジンで特集やったときはもっと深い話から書いていただろーがとか思ってしまったわけです。


少なくともこの本はマニアの方側向いてません。かといって初心者向けかと言われたらそれも疑問です。
作者さんにそのつもりはないかもしれませんが、少なくともリットーミュージックの担当さんは見てません。
だって自社のバックナンバー読んだら過去に同種の特集記事があったし、その記事の筆者さんに問い合わせれば少なくとも事実誤認はぐっと減ったはずなんだから。
このご時世出すだけ偉いよと言う人もいるけれど作者さんは副業くさいとはいえ商業誌で書いておられるプロです。編集さんは出版社お勤めの方です。精度を上げるもしくは適切なタイトルをつけるお仕事はしてください。これ元夫を含むこの手の物書き身内のお仕事だったら容赦なく横から口出したしそのままだったら腰に蹴りいれてます。


というわけで、このままこの本持ち続けイライラしているのもなんなので、面識あるお人のうちで、「ダメ出ししたいが買うのもシャクだ」と思われている方がおられたら喜んでお貸ししますのでTwitterのリプなりコメなりくださいませ。そんで討論しましょうや。


あ、その前に同種本持ち込んでマニアだらけの討論会企画したら面白そうだな、「CD10選」のときと同じく絶対収拾つかないだろうけどw


追記:指摘のない「事実誤認」「つっこみ」があったので、自分なりにメモ。気が付いたら書いていきます。

  • p94 Nightsの「『Dreams Dreams』がゲームのプレイ結果で変わる」とありますが、プレイ結果で変わるのはまったく別のBGMです。また、「Dreams Dreams」に別バージョンができたのは「クリスマスナイツ」以降に契機があるごとに出ているもので、みんな本編発売後の話。
  • p81 声の取り込みが効果音から始まったのは事実だけど、PCM音源よりも先に「スピーチPSG」が使用されています。先にちょっと書いたカルテットの「OKI RAP」は「スピーチPSG」を活用しています。効果音とかの例でいうならそれより前がもっとあるはず。
  • p65 CD-ROM2で継ぎ目のない再生ができなかったのは、等倍再生の仕様だったために再生中何もできなくなってしまうためでシーク時間以前の問題です。あとp66で例として挙げられている「天外魔境II 卍丸」と「ドラゴンスレイヤー英雄伝説II」がCD-ROM2を改良したSUPER CD-ROM2のタイトルであることは書いておいた方がいいかもね。
  • p60 「既存曲のアレンジ」として例に挙っているハットリくんの「アルルの女→天国と地獄→アニメ主題歌」は「面白い試み」というよりは、一定小節までなら無断使用とみなさない「JAS○AC避け」のための苦肉の策らしいです。

2013年05月27日のツイート

2013年05月26日のツイート

2013年05月25日のツイート

2013年05月24日のツイート

2013年05月23日のツイート

2013年05月22日のツイート